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有頂天家族原画集<初級編> [仕事]

以前にブログに書きましたが、「有頂天家族」というテレビアニメ作品が好きで、動きがいいなぁ~と思っていた部分が、井上俊之さんが担当していたという事もあり、原画集を購入。

今回は、有頂天家族原画集<初級編>のオーディオコメンタリーを元に、少し紹介したいと思います。
なお、作画用語が出てきますが、説明はいたしません。

有頂天家族_c136.jpg
▲3話c136は、歩いてインして靴を脱ぎ、一段上がって奥へ歩いて行くアクション。
レイアウトは望遠になり過ぎない様にしたそうです。
そもそも望遠とはレンズを通す事でしか得られない構図で、人間の見た目の感覚とは全く違う物。
演出によっては、レンズのミリ数で指示を出す方もいるようですが、井上さんは、そこに居合わせたかの様な人間の見た目感を出すように心がけているそうです。

[猫]靴を脱ぐ動作もシンプルでありながら、よく考えられているなと感じます。

3話c137は、暖簾をくぐるという芝居。
日常動作はいかに変に見えない様に描くか、ツメ指示と原画の連動という事に特に気を使ったそうです。
暖簾をくぐる時、少し頭を下げるとか、布の重量感など、細かい部分のこだわりも出ています。

[猫]こういう日常芝居って、嘘がつけないので実は大変。
いかに日頃の体験や観察をアニメに落とし込むのか、アニメータの素養に関わって来る重要な部分です。


3話c141は、矢三郎と矢四郎が手を取って歩き、矢四郎が途中で咳をするカット。
矢三郎は中4枚の歩きに対して、矢四郎は中3枚という歩き。


このカットは、矢三郎に矢四郎の左手を書き込み、矢四郎の左手以外を別セルで上に置く事で回避。
歩きながらの咳も、歩きのタイミングも考慮して、最終的に元の歩きに戻る様に、コントロールしていました。
中なしで咳をして中1のタイミングで戻るというという事は当初から想定していたそうです。

[猫]タイミングの違う物を書き込みで表現するのは、アニメでは非常に面倒な作業なんです。

有頂天家族_c143.jpg
▲3話143は俯瞰の床に手前をイン~アウトして通り過ぎる矢三郎と矢四郎の足。
矢四郎の足はカメラの近くを通るので、奥から手前に大きくなります。

特にこういうカットは、床のパースを並行に取りがちな人が多く、構図が望遠ぽくなってしまいがち。
イン~アウトする足の運びは、フレーム外をいかに想像するかがポイントという事です。

3話c144は、てを取って歩く矢三郎と矢四郎をまた上で切ったアオリのアングルで、手前方向へフォローするカット。
BGの上に作画の柱を奥に送り、天井を見上げる二人。
手を取る二人の歩きが描き込みされ、タイミングが違う厄介なカットですが、中4、中3を描き込みでタイミングをズラすのは断念。そのかわり、歩きの中間ポーズも原画にする事によって、二人の位置関係に変化をつける事で表現したそうです。

[猫]こういう所はテクニックと経験のなせる技ですね~。

3話c145は、俯瞰アングルで、手を取り手前から奥へゆっくり歩く矢三郎と矢四郎のカット。
手を取る二人の歩きが、描き込みされ、タイミングが違う厄介なカットですが、前カットと同じ方法論で作業。
一歩ごとの原画だけで中割すると、二人が一つの塊の様に見えるので、歩きの中間ポーズも原画として、二人の位置も、寄ったり離れたりさせる事でタイミングがずれている感じを表現したそうです。

[猫]これ、描き込みだったんだ・・・脱帽です。

勉強になるなぁ~、今回はここまで( ̄▽ ̄)
続きは、時間がある時に追記いたします。

次回予告・・・「なびきに技あり!弁天脱ぐ」

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